どうせ深月のことだから、あたしのことをボロクソに言っていたにちがいない。女のくせに男よりクサい、とか。牛乳を拭いたあとの雑巾の匂いがする、とか。
さすがに牛乳雑巾の匂いはしないだろうけど、樹里や加奈子たちよりクサいのは確かだ。樹里いわく、あたしは女子として始まってもないらしいから。
「なんでだったかな。ああ、そうだ。顧問からも言われたんだよ、夏の匂い対策について。毎年剣道部の荷物がクサいってクレームが入るらしくて、今年は徹底するようにって」
「うちだけじゃないけどね、夏にクサいの。野球部だってけっこう匂うし。ねぇ優ちゃん。カレーこれ、出来てないの?」
「出来てるけど、もう食べるのか? まだ早いと思うけど」
「言ったじゃん。お母さんが朝用意してくれてなかったから、お腹すいて死にそうなの!」
タイミングよく今日いちばんの腹の虫が鳴いて、優ちゃんが思わずといった風に吹き出した。
「ちょっと早いけど、まあいいか。歩、お皿用意して」
「やった! 優ちゃん大好き!」
勝手知ったる他人の家。食器棚から深めの大皿を2枚出して、炊飯器の前に持っていく。


