「今年は男子に練習着の洗濯と防具の手入れ、徹底させてくださいよ、主将」
「いつも言ってるんだけどなあ。俺も気をつけないと」
「優ちゃんはちゃんとしてるじゃん。臭くないもん」
冷えた麦茶をコップに注ぎながら「そんなわけないだろ」と優ちゃんが笑う。
気をつけなきゃいけないのはあたしの方だ。
いまだって、寝汗かいてるのに着替えもせずに出てきちゃったし。
Tシャツの胸元をひっぱって、くんくんと匂いを嗅ぐ。自分の匂いっていまいちわからない。
あたしは臭いと感じないけど、人が嗅いだら臭いと思うんじゃ?
「歩こそ臭くないよ」
「うわ、ダメだって! あたし寝起きのまま来ちゃったから絶対クサいし!」
コップを手渡すついでに、あたしの肩あたりに顔を寄せてくる優ちゃん。
スゥと息を吸い込むのが聴こえて、さすがに恥ずかしくなった。やっぱり着替えてから来ればよかった。
「ほら、クサくない」
「嘘だぁ~」
「ホント。歩はいつも日向の匂いがするって、前に矢田と話してたんだよ」
「深月と? なんでまたそんな話しに……」


