部活が終わったあと、居残りで自主練習をするのはいつもだいたいあたしたち3人だ。
あたしと深月で試合をするのを、優ちゃんが見てくれたり。
優ちゃんがあたしたちふたりに稽古をつけてくれる時もある。
あたしは、この時間が好きだ。
深月には腹立つことも多いけど、好きな剣道を気心の知れたふたりと出来る短い時間。
楽しくて、これ以上なんてなくて。
この時間のために、毎日学校に来てるって言っていいくらい。
ずっとこんな日々が続けばいいのに。
「で? さっきは何でケンカしてたんだ?」
3人で並んでモップ掛けをしていると、優ちゃんが話しを蒸し返してきた。
「聞いてくださいよ、主将。コイツ、今日3年にラブレター渡したらしいんすよ」
「えっ。歩、告白したの? いやそれより、好きな奴いたんだ?」
「ちっがーう! ちょっと深月! 誤解を招くような言い方しないでよ!」
「なんで。合ってんだろ?」


