君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


なんだかあたしが手紙を届ける役をしてるのが、気に入らないみたいな顔だ。

そりゃあ男子の顔がわからない時は手伝ってもらってるから、深月に迷惑はかかってるかもしれないけど、最近じゃなるべく依頼してくる子に相手のこと聞いて、自分で探すようにしてるんだけど。


「意味わかんねーんだよな。お前が毎日のように校内駆けずり回る義理あるか?」

「どしたの、深月」

「主将もだけど、いまのお前も充分忙しそうに見えるんだよ。アホはひとつのことに集中してろって主将も言ってたじゃねーか。断りゃいいだろ」

「うーん。でもいまさら断ったらヒンシュク買うじゃん」

「文句言ってくる奴がいたら、俺が1発締めてやる」

「いやいや、県大会近いのに何言ってんの。暴力沙汰はまずいってあんたも言ってたじゃん」

「近いからこそ言ってんだろ。それとも何だ? お前が好きでやってるっつーのか?」


そんなわけないだろ、と鼻で笑われる。

確かにその通りだ。別に好きでやってるわけじゃない。

こんな面倒なこと、好んでやりたい人なんているだろうか。まあウワサや恋バナが大好物な女子なら、やりたいと思う子もいるかもしれないけど、生憎あたしはそういうタイプじゃない。