君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


そろそろ終わろう。そう言って優ちゃんがあたしたちに背を向ける。

その背中を見つめながら、あたしたちは肩を並べ隣り合った。


「なあ。なんとなく、主将変じゃね?」

「うーん……」

「最近顔色も良くないような気がすんだけど」


顔色? 剣道部員は皆だいたい肌が白い。ほとんど剣道場にこもってるからだ。

健康的とはいいがたい見た目で、優ちゃんも言うにもれず真っ白だけど、そういうことじゃないのか。


「やっぱり、受験生って大変なのかなあ。優ちゃんなら東大とかじゃなきゃ余裕だと思うけど」

「勉強もだし、家のこともやってんだろ? 部活じゃ主将だし。そりゃ忙しいに決まってる。改めてすげー人だな」


心底感心したといったように息をつく深月。

本当にその通りだと、あたしは深くうなずいた。

成績はいつも学年上位に入ってて、自炊もして、頻繁には来られない剣道の師範や剣道知識のない顧問に代わって部活をほぼ取り仕切ってる。

ひとりで何役もこなしてる優ちゃん。授業は寝て、楽しく竹刀振って、家に帰ったら食べて寝るだけの気楽なあたしとは違うんだ。