君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「悪いけど、今朝はちょっと身体がだるくて。風邪かな。部活も俺は指導だけにさせてもらうつもりだ」

「風邪!? 優ちゃんが!?」


あんまり驚いて、持っていた竹刀を落としてしまった。

だって、優ちゃんが風邪を引くなんて何年ぶり? というか、風邪引いたことあったっけ。

インフルエンザなら、小学生の時学校閉鎖になるくらい流行した年はかかってた記憶があるけど。


優ちゃんはしっかり者だから、体調管理も完璧だし、滅多に病気にはならない。手洗いうがいをすぐサボるあたしとは違って。


「たいしたことないよ。明日には治ってるさ」

「……勉強しすぎなんじゃない? 推薦あるんだから、ムリしないでよ」

「そっすよ。大会近いのに、主将がいなくなったら困ります」


そうだよ。ないとは思うけど、優ちゃんのいない大会なんて想像できない。

男子は団体戦だってある。女子部員がひとりしかいないから、あたしにはどう足掻いても出ることができない団体戦。

優ちゃんも深月も、メンバーに入ってる。個人戦と同じくらい、団体戦をあたしは楽しみにしていた。


「だから、大丈夫だって」