深月がちょっと驚いた顔をしたのがわかった。すぐに元の無表情に戻ったけど。
普段、バカだのアホだの能天気だのって馬鹿にしてるあたしが、複雑な家庭環境にあることが意外だったのかもしれない。
実際はそんなに複雑じゃないけど。お母さんが再婚したってだけ。いまどき珍しい話じゃない。
実の父親は早くに亡くなってて写真でしか知らないから、父親っていうのがよくわからなかった。
小さい時は両親のそろってる友だちを羨ましく思ったこともあっただろうけど、小6になる頃にはそういう感情は消えていたように思う。
お母さんとふたりの生活は自由気ままって感じで楽しかったし、満足してたから。
だから、お母さんに再婚したいって言われた時は、何でいまさら?って納得できなかった。
今のままでいいじゃん、ふたりきりでも充分楽しいじゃん……って。
それともお母さんは、あたしだけじゃ足りないの? つまらないの?
あたしとふたりじゃ、幸せになれないの?
そんな風に考えて、ショックを受けて、荒れた。
荒れたって認識は自分にはなかったけど、優ちゃんが言うんだから充分そうだったんだろう。