防具をつけていても、打ち込まれると痛い。
優ちゃんみたいな上手い人とやると痛くないけど、下手な相手だと涙が出るくらい痛い。
手なんかしょっちゅう痣が出来る。
いくら優ちゃんがかっこよくても、恋の為に痛いのを我慢できる女子はいなかった。
去年は3年にひとりいたんだけどなあ。女の先輩。
「またそうやって都合いい時だけ女子アピールする。普段女捨てて、男より男らしいくせに」
「別に女捨ててません~! あんたが勝手に男女とかメスゴリラとか言ってるだけでしょ!」
またケンカに発展しかけた時、「はいはい、そこまで」と優ちゃんが手を叩いた。
同時にあたしも深月もピタリと動きを止めて口を閉じる。
あたしたちは水と油みたいな関係で、会えば口論ばかりしてる。
こいつとだけは相容れないと思ってるけど、ひとつだけ共通点があった。
優ちゃんには逆らえないってところだ。


