君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


なに言ってんの?

不自然に明るくなった樹里の声に余計イライラして、振り返る。

ふたつ下の段に立つ樹里は、作ったような笑顔を浮かべていた。


「もうやめちゃえばって……。それ、本気で言ってる?」

「だってやりたくないんでしょ? 剣道に集中したいんだよね? じゃあもうやめなよ」


あまりにも軽い言い方に、さすがにあたしもムッとした。


そんな風に簡単にやめられるなら、最初から引き受けてない。

あたしが嫌がってたのを知ってるくせに、どういうつもりで言ってるんだろう。


「子どもの遊びじゃないんだから。疲れたからやめる、なんて通じるわけないじゃん」


あたしが何を言ったって、みんな自分のことしか考えてないから聞きもしない。

樹里だってそうだ。最初から他人事だったし、あたしが奇跡の一端を担ってる、なんて言って焚きつけてきた。

それなのにいまさら何?


思わず睨んでしまうと、樹里は一瞬傷ついた顔をしたけど、引かなかった。


「子どもの遊びじゃないなら何? それって歩の仕事なの?」

「……仕事みたいなもんじゃん。別にやりたいわけじゃないうえに、給料だってもらえないけど」