君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


時には廊下を、時には体育館を、時にはグラウンドを、時には正門までの道を。

先生には注意され、生徒たちには声援をおくられ、スカートを、袴をひらめかせ駆け抜けた。


なんであたし、走ってるんだろ。

廊下の窓の外、流れる緑と変わらない空に、時折そんな考えが浮かぶ。

でも深く考えてるヒマなんてなくて、次から次に舞い込んでくる手紙の依頼を、ただひたすらにこなした。


余計なことを考える時間があるなら、剣道に集中したい。もちろん前みたいに練習に遅れるなんてもっての他だ。

剣道以外どうでもいい。授業も、勉強も、恋愛ばっかのクラスメイトの会話も全部。




「歩。先走りすぎだ。ちょっとは立ち止まって、自分を省みることも必要だぞ」


居残り練習の時間を増やしていたら、優ちゃんにオーバーワークだと止められた。

でもやり過ぎてる自覚はなくて、不満だった。やってもやっても足りない気がするのに。


「優ちゃん、あたしは大丈夫だよ」

「どこがだよ。何に焦ってんだよ、らしくない」


深月まで怒ってるみたいに口を挟んできて、ますます面白くない気持ちになった。