君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている




自重するのをやめると、驚くほどスムーズに事が運んだ。

まずラブレターの宛先人が、何年何組かしっかり確認してから、深月に案内を頼む。

学年がちがっても、深月は意外と顔が広くて探し相手はすぐに見つかる。友だちの先輩だったり、後輩だったりが多い。


ターゲットの顔の確認をしたら、用心に本人に名前を確認する。「〇年〇組の○○くんですか?」と。

まあ大抵の人はちゃんと答えてくれる。


で、本人確認が取れたら「手紙のお届けです、ご確認ください」と間髪入れず言って託された手紙を差し出す。

まあ大抵の人はこれで受け取ってくれる。なるべく事務的に言うのがポイントだ。こっちが事務的だと、相手も受け取んなきゃいけないって雰囲気になるんだと思う。


受け取ってもらえたらそれで任務完了。余計なことは喋らず「確かにお渡ししました、失礼します!」って何か聞かれる前に挨拶して素早くその場を去る。

聞かれてもあたしには何も答えられないから、これは仕方ない。事務的にもなれる。


こんなのあたしじゃなくたって、誰にでもできることだよなあ。

深月と並んで教室に戻る道すがら、何度もそう考えた。こんなことに満足するなんて、皆おかしいって。