君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


コートではいままさに、男子決勝戦が始まろうとしていた。

あたちの試合の時とはまったく別物の、張り詰めた緊張感がここにいても伝わってくる。


うちの学校名が刺繍された、同じ剣道着を着たふたりがコートに入り、礼をする。

互いに3歩進み、開始線に立ち蹲踞。抜いた竹刀の先を向け合うと、主審の宣告でふたりが勢いよく立ち上がり、その瞬間から技の応酬が始まった。


深月が繰り出す手のあまりの速さに目が追い付かない。

でも優ちゃんは確実に見切って有効打を避けている。その足さばきもまた素早く、あたしは必死にふたりの動きを目で追った。


竹刀を打ち合う音が、真っ白な光に代わって弾ける。

眩しくて、触れることのできないふたりだけの空間がそこにある。


たった5分しかこれを見ていられないなんて、もったいない。もっと見ていたい。

あたしにはどうあがいても、立ち入ることのできない高みにふたりはいた。


純粋にすごいと、毎回思う。

羨ましくて、少し悔しくて、そして……寂しい。

そこに自分の姿がないことが、悲しいんだ。