君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


あたしもそう力のある方じゃないけど、そうも言っていられない。相手を押し返し、軽くよろけるのを見て間髪入れず面を打ち込んだ。


白旗が一斉に上がる。まずは1本。


いける。いや、このまま勢いに任せていかないとダメだ。

今日のあたしの集中力は最悪だ。相手の動きへの反応がひどく鈍いから、とにかく先を取るしかない。

細かい技の応酬も望めないし、勢いで押し切るのが唯一の道だと思った。


長引けば不利。相手に伝わる前に終わらせなければ。


そんな焦りを読んだみたいに、相手は上手くあたしの技を躱し、細かく仕掛けてくる。

男子とはちがう、鋭さはないけど柔らかな女子の動きがやりにくい。こんなにやりにくく感じること、いままでなかった。


別に相手がすごく強いわけじゃない。何度か対戦したことがあるし、記憶が正しければあたしが勝ち越してるはずだ。

だからやっぱり、あたしに問題があるってこと。でも試合中にうまく切り替えられるほどあたしは器用じゃない。


とにかく力で押し切れ。大丈夫、それができる実力差はある。

そう思ったのに、ギリギリのところで2本連取されてしまった。出ばな面を綺麗に決められて、心が折れた瞬間一斉に赤い旗が上がる。



「勝負あり!」