君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


何かを否定するように、早口でまくしたてるあたしたちに、優ちゃんが「威張って言うことか」と笑う。


「勉強はちゃんとしろ。それだけが心配だ」

「バカ深月! 話戻っちゃったじゃん!」


珍しい深月の失敗を、ここぞとばかりに責めまくる。

喋っていないと足元が崩れ落ちそうで必死になった。それは深月も同じで、優ちゃんはそんなあたしたちの焦りを静かに見つめているみたいだった。


「お前たちなら、俺とは違う形で部を引っ張っていけると信じてるよ」

「ま、まさか、あたしたちのどっちかを部長にしようなんて思ってる?」


そんなムチャな! あたしみたいに楽しければいいなんて考えてる奴が、部長なんて務まるはずがない。

たぶん下級生に尊敬なんてされないし、むしろ舐められて剣道部崩壊なんてことになる可能性だってある。


「絶対ムリです。俺そういうの向いてないし、まだ剣道歴3年のぺーぺーなんで」

「あ! 深月ずるい! こんな時だけ素人ぶって!」


そりゃあ愛想はないし口も悪い深月が部長に向いてるなんて思わないけど、だからってあたしの方が向いてるってことでもない。

2年は他にも3人いるし、他に適役はいるはずだ。とりあえず、あたしたちよりは絶対マシ。