君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「まだそこに行くって決まったわけじゃないからな。お前たちも来年は受験生なんだから、もうちょっとまじめに勉強しような?」



毎回いくつか赤点をとってくるあたしたちに、主将らしい顔になってそんなもっともなことを言ってくる。

正直あたしも深月も、勉強じゃなく剣道こそが本業だと本気で思ってるので、授業態度もよろしくなかったりする。簡単に言うと、よく居眠りしてしまうのだ。


朝練のために早起きもしてるし、始業前におにぎりを食べたらおの満腹感で眠くなり、お昼のあとも眠くなり、だいたい2度の居眠りで体力を回復して、放課後の練習に臨んでる毎日。

当然勉強は追い付かないし、先生の評価も下がる。そしてそれをあんまり問題にしてないのも、あたしと深月は共通していた。


「あー……あ! コンビニ! おい、コンビニ行くぞ!」


気まずげに視線を巡らせた深月は、急にそう言ってあたしの腕を引っ張った。


「は? なに、お腹空いたの? さっきパン食べてたじゃん」

「ちげーよ。アイス奢る約束だっただろーが」

「アイス? ……ああ。一生忘れてくれててよかったのに」