見せつけるように優ちゃんと腕を組んで、深月にべっと舌を出してやる。
いくら深月が優ちゃんに懐いても、あたしと優ちゃんの方が何倍も付き合い長いし、仲だって深いんだ。
「そういうお前こそ、なんにも考えないでただ見てるだけだろ! そうじゃないと、ずっと白木主将のそばにいてそんなに下手なままでいる説明がつかないもんな!」
「はあ~? ただセンスだけで剣道やってる奴に言われたくないし!」
「はいはい、道端でケンカしない。お前たちは本当に元気だな。ふたりがいれば、俺が引退したあとも安心だ」
急にそんなことを言いだした優ちゃんに、あたしも深月も言葉を失った。
いままで引退のことなんて一度も口にしたことなかったのに。不意打ちにもほどがある。
もしかして、引退をちらつかせることがあたしたちにとってかなり効くって、わかっててやってるのか。
「引退って言っても、剣道は続けるんだから、練習には来るんだよね?」
「うん? うーん……そうだな。受験が控えてるから、たまに顔出すくらいかな」
「でも受験って、主将推薦ですよね? 大学から声かかったって顧問が言ってたし」


