君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている




居残り練習も終わり、すっかり暗くなった帰り道を、3人並んで歩いていた。

優ちゃんと、あたしと、深月。いつもの3人。

3人とも疲れているはずだけど、この時間は必ず賑やかだ。


あたしも深月も優ちゃんが大好きだから、どうしてもテンションが上がってしまって、我先にって感じで話しかけてしまう。


「矢田は守りが上手すぎるな」

「ダメっすかね。見えると絶対打たれたくないって思っちゃうんですよ」

「わかるけど、あんまり守りすぎると審判の心象も良くない。ほどほどにしないと、逆に相手に有利になるだろ」

「俺もわかってんすけどね……主将みたくバランス良くっていうのがまだ難しいです」

「お前は実力高いけど、実際は剣道はじめてまだ3年ちょっとだもんなあ」

「優ちゃん! あたしは? あたし」

「歩の課題は技術より精神面だな。お前は昔からムラがありすぎるから。それが良い時に発揮されることもないわけじゃないけど、見ててハラハラするよ」

「そうだそうだ。主将に余計な心配かけんじゃねーぞ」

「うっさい深月! あんたも優ちゃんに何でも聞きすぎ、頼りすぎじゃん! 見取り稽古まじめにやれ!」