極悪プリンスの恋愛事情



「じゃ、そういうことで」

「へ……?」


ぼんやりしていた私の横を通り過ぎ、何事もなかったように靴を履き替える。

そして私に構うことなく、あっさりと離れて行ってしまった。


え、ちょっと!?


「ま、待ってよ凛くん!私も一緒に帰る!」


見惚れている場合じゃなかったと我に帰り、急いで靴を履き替えた。


走って後を追いかけたら「うざいからついて来んな」と、また冷たいことを言う。


けれど私が素直に離れるわけもなく、勝手に凛くんの隣を歩くことにした。


やった!片想い歴1年半にして、初めて凛くんと一緒に帰れる!


ひそかにガッツポーズをしたら「だる……」と小声で言われてしまった。