極悪プリンスの恋愛事情



「な、なに変なこと言ってんの。意味わかんないんだけど」

「え、そうかな?」

「もういい!これ返す」

「ちょ!?」

「未遂なんだから、私たちのこと相崎くんには言わないでよね!」


私に靴を押し付けるや否や、勝手な言い訳だけを残して女の子たちは下駄箱から姿を消した。


逃げ足早いなぁ……。

凛くんの靴を元に戻して訪れた静けさに安堵する。


勢いで飛び出しちゃったけど大事にならなくてよかったぁ。

こっちは1人だから反撃されたらどうしよ〜って焦っちゃった。

ドッドッドッと早鐘を鳴らす心臓のおかげで、どんな気持ちで走り出したかよくわかる。


私って、凛くんのためなら意外となんでもできちゃうんだね。

よくやったぞ!と、自分のことを褒めてあげた。


と、その時───────。


「おせっかい」


突然届いだ声にハッとした。