極悪プリンスの恋愛事情



「勝手に覗いてんじゃねーよ」

「違うよ!本当にただの偶然なんだって!」

「黙って見てたんなら同じだろ」

「そ、それは………」


たしかに……と、言葉が詰まる。


なんか私って凛くんに嫌われるようなことばかりしてない?

これ以上変なことしたら、話しすらしてくれないんじゃ…………。

考えただけで血の気が引いてきた。


「ったく……ほんとドジばっか」


足元に落ちていた本を拾い上げると、凛くんがため息混じりに呟いた。


「花野井はバカなんだから、それ以上頭ぶつけんなよ」


私の頭を撫でながら呆れた顔で笑う。

バチっと目が合った瞬間、身体中に熱が巡った。


いっつも冷たいくせに……急に優しくするのは反則だよ。


私は嫌われることばかりしちゃうのに、凛くんは私を好きにさせてばかり。


こんな甘さを知ってしまったら抜け出すのは難しい。


きゅんって胸の奥がときめいて、ドキドキする心臓がうるさくて。



何度でも恋に落とされる。