「どうせなら告っちゃえばいいのに。きっぱり振られたら諦めつくでしょ?」
「告白できる勇気があるなら、とっくに話しかけに行ってるよ」
相崎くんが嫌いな皐月はいつも私に諦める方法を要求してくる。
女嫌いの彼に告白すれば、振られるのは目に見えているわけで。
告白イコール泣かされるの式が完璧に成り立っている。
叶わない恋だってわかるよ。
でも、好きなんだもん。好きになっちゃったんだもん。
無理だとわかっていても、相崎くんの特別になりたいと思ってしまう。
恋はとても自由なもの。
だったら、夢くらい見たっていいでしょ?
女の子たちに囲まれている相崎くんを、ちらりと盗み見た。
同じ教室にいるのに、彼との距離は今日も遠い。
一度も交わることのない視線に胸がちくりと傷んだ。
…………どうせこのまま、何もできずに終わるんだろうな。
同じクラスになったチャンスも生かせず、ずっと代わり映えのない日常が続くのだと、そう思った。



