極悪プリンスの恋愛事情



「凛くん……!」


急いで背中を追いかける。

何度呼んでも止まってくれないから、必死の思いでブレザーの裾を掴んだ。


「なに?」


振り向いた凛くんと目が合う。

向けられた視線は鋭い目つきのままで、ほんの少しだけ怖かった。


「文化祭参加しないって、どうして…?」

「面倒だから」


「でも、せっかくの学校行事なんだし参加しようよ!凛くんの執事服楽しみにしてる子がたくさんいるのに────」


「うっざ。そうやって騒がれたくないから行かねーんだよ」

「わっ、」


掴んでいた手を払われて、行き場を失った右手は宙を彷徨う。


凛くんが乗り気じゃないことはわかってたし、女の子たちだってたしかに強引だった。

でも、それでも……。


「凛くんがいないと寂しいよ」