極悪プリンスの恋愛事情



「な、なにしてるの!?」


勢いに任せて凛くんの両肩を掴む。


いつもなら近すぎてドキドキしちゃう!って乙女回路が回るのに、今はそんなことを考えてる余裕もなかった。


「なにって……食べて欲しかったっつーから食ってやってんだけど」


当たり前だろ?みたいな顔をされる。

いやいや、当たり前なわけないじゃん!?


「だからって、土まみれのケーキ食べないでよ!お腹壊しちゃう!」

「うるせー、俺の勝手だろ」


私の抵抗も呆気なく払われて、凛くんがまたカップケーキに手を伸ばす。

土まみれになった物体が次々と口の中へ消えていく。


最後のかけらを食べ終わったら「まっず」と、ご丁寧に感想まで言ってくれた。