極悪プリンスの恋愛事情



「……なんでまた泣くんだよ」


凛くんが、そっと私の涙をすくう。

冷たいことばっか言うくせに優しくしてくれるから………何回でも泣いちゃうよ。


「凛くんに食べて欲しかったんだもん………」


優しさに胸を打たれて自然と本音を零す。


ケーキは上手く焼けたし、渡すときのセリフだって何度も唱えて完璧にしたのに。

私はいつも失敗ばかりだ。


「あっそ。くだんねーこと考えてたんだな」

「ご、ごめんなさい………」


ズキリと胸が痛んだ。

ただの自己満のくせに、勝手に傷つく自分が心底嫌になる。


凛くんがどう思うかなんて少し考えればわかったはずなのに。