極悪プリンスの恋愛事情



「なんだよあいつら。意味わかんねーし」


不思議そうに呟く凛くん。

たとえ自分のために来たのだとしても、私には助けに来てくれた王様様にしか見えなかった。

ありがとうって言わなきゃ…………。


「お前、泣いてんの?」

「え、」


凛くんに言われて涙が溢れていたことに気がついた。

あれ、おかしいな………。

「なんでもないよ」と擦っても、ぽたり、ぽたりと涙が落っこちる。


「なんかあった?」


情けない姿で地面に座る私を下から覗き込むように、凛くんが問う。


ファンの子たちにいびられた…………なんて素直に言えないよ。


歪な笑顔を貼り付けて「本当になんでもないから」と首を横に振った。