極悪プリンスの恋愛事情



楽しげに笑う皐月と元の班に戻りつつ、ちらりと凛くんを見た。

ついさっきまであんなに近くにいたのに、ファンの子たちで壁ができている。


同じ教室にいるのに、遠い………。


たとえ転んだのが私以外の誰かでも、凛くんは迷わず助けていたと思う。

冷たいことばかり言うけど、本当は誰よりも優しいことを知っているから。


だからもっと好きになったの。


「はぁ………」


助けてくれたのは嬉しかったけど、恥ずかしくて凛くんの側に行けないや。

ファンの子たちからの視線は怖いし………一瞬にして敵にされた感じ。


ため息混じりに薄力粉を混ぜた。


「ちょっと静香!そんな嫌そうに作んないでよ不味くなるでしょ!」

「えー………、どうせ自分たちで食べるんだからいいじゃん」

「だめ!少なからず私だって食べるんだから、笑って笑って!」