「相崎くん!私上手くできなくて〜、教えてほしいなぁ〜!」
「ずるーい、私も!」
不機嫌オーラを放つ凛くんに構わず、ファンの子たちはキャーキャー騒ぎ続けている。
「静香は相崎のとこ行かなくていいの?最近すっごく積極的だったじゃん」
私と同じ班の皐月が、呆れ気味に凛くんを指差した。
「い、行くよ……!」
こんな遠くで見てないで、皐月の言う通りアタックしに行かなきゃ!
すっごく不機嫌だけど、私だって近くに行きたいもん。
持っていたボウルから手を離して、異様に人が集まっている凛くんの元へと急ぐ。
「凛くん!私も……………」
けれど──────。
「ひゃっ!?」
近くにあった段差に気づかず、思いっきり足を引っ掛けてしまった。
わっ、やば!?
転ぶ…………!
と、思い反射的に目を閉じる。



