極悪プリンスの恋愛事情



「あのさ、俺はお前が嫌いだって言ったよな?」


熱烈なアプローチを仕掛ける私に返ってきたのは、あの日と変わらない冷酷な言葉。

それでも、引くわけにはいかなかった。


「わかってるよ。全部わかった上で凛くんが好きなの」


片想いの相手に嫌いだと言われ、傷ついてないわけじゃない。

普通にへこむしメンタルを抉られてる自覚はある。


だけど、そんなことにいちいち嘆いてたら私の恋は終わってしまう。


嫌いスタートは承知の上。

彼との恋は遠い場所から始めるしかないのだから。



「一方通行とか報われないよ?」

「うん。だから、好きになってもらえるよう頑張るね!」

「うっざ………」


露骨に嫌な顔をされたけど、慣れてしまえば案外平気なものだ。

こうやって回数重ねれば凛くんの毒舌にも耐性がつくかも。


だから、にっこりと笑ってみせた。


「きも………」


ストレートすぎてグサッとくるけど。