「は?人の服勝手に捨てるわけねーだろ」
「あ、いや……」
極悪プリンスなら、嫌いな人のものくらい簡単に捨てちゃいそうだなって思っちゃったんだもん。
「あはは、花野井ちゃんが思ってるほど凛は極悪人じゃないよ?なんたって、ソースの染みを必死に洗っちゃうくらいお人好しだし」
「うるせー黙れ」
キッと睨みをきかせる相崎くんに構わず「まぁ、結局落ちなかったけど」と、岸本くんは喋り続けている。
「私のこと嫌いなら、ほっとけばいいのに。なんでそこまでしてくれるの?」
そう言ったら、相崎くんは顔を強張らせた。
だけど、いつもの怖い感じは全くなくて。
むしろ可愛いというか……拗ねた子どもみたい。
…………って言ったら、怒るかな?



