極悪プリンスの恋愛事情



「花野井…………?」


寝起きのせいか、少しだけ低い相崎くんの声。

足元に転がっていたオレンジティーを掴みながら、相崎くんが茂みから顔を出した。


ようやく見えた姿にドキンと胸が高鳴る。


「なんだ、居るなら声掛けろよ」


その言葉は私に言ったのか。それとも岸本くんに言ったのか。

どちらかわからないけれど、とにかく相崎くんがこちらに向かって手招きをしている。


「早く来い」

「だってよ、花野井ちゃん」

「え、私!?」


瞬きを繰り返して岸本くんに訴えかけたけど、その答えをくれたのは相崎くんで…………。


「わざわざ瑛斗を呼ぶわけねーだろ。こっち来い」


氷のように冷たい瞳がじっと私を見ていた。