極悪プリンスの恋愛事情



私を驚かせた犯人でもある岸本くんとは、案外それなりに話せる仲だったりはする。

といっても、関係性はごく普通のクラスメイト。

地味な私とも気さくに話してくれる良い人だ。


「こんなとこに立ち止まって何してんの?」

「えっと………立ち止まってたっていうか、オレンジティーを買った帰り道なだけで…………」


「ははっ、素直に凛を見てたって言えばいいのに。嘘下手だね」

「なっ………!?」


全部知った上で言い訳を引き出そうとしていたらしい。

このっ………岸本くんのいじわる!


「おーい、凛!花野井ちゃんが来たぞー!」

「え!?」


岸本くんの意地悪は私をからかうだけでは終わらなかった。


茂みに隠れる相崎くんに向かって、何の迷いもなく声を飛ばしている。