極悪プリンスの恋愛事情



胸の前でぎゅっと手のひらを握りしめて、相崎くんのいる茂みから目が離せなかった。

すると………………。


「あれ、花野井ちゃん?」

「ひゃあ!?」


背後から飛んできた声に驚いて、ビクリと肩が震える。


持っていたオレンジティーは地面に転がり、動きを止めた先は相崎くんの足元。

や、やばい…………。


「あはは、名前呼んだくらいでそんな驚かないでよ」


私がどれほど焦っているかも知らずに、声の主は楽しそうに笑っていた。


ひとまず相崎くんからは目を離し、振り返って文句を投げる。


「急に大声出されたら驚くに決まってるでしょ!」

「ごめんごめん。以後、気をつけまーす」


このっ………絶対反省してない!


「岸本くんの言葉は軽すぎて信用できないから!」


ムッと唇を尖らせた。