極悪プリンスの恋愛事情



ふと、相崎くんの着るカーディガンに違和感を覚え、心の中で首を傾げた。


これは夢?それとも幻?

相崎くんが着ている白いカーディガン。


…………なんか、昨日まで私が着ていたものにそっくりなんですけど。


もちろん確証はない。

でも、擦り切れた袖の感じとか、一番下のボタンが外れてたりとか、ポケットに刺したままのヘアピンとか。目に見えるもの全てに覚えがあった。


大きめサイズを買ったから長身の相崎くんでも着れるよなぁ……………って!?


いやいやいや!ない!絶っっっっ対にありえない!!!!


私のカーディガンを着る相崎くん。なんて妄想、片想いの度を超えすぎてさすがに気持ち悪いよ。


昨日置き去りにしてしまったカーディガンの行方を相崎くんに擦りつけて、自己解決したいだけでしょうに。

振られて頭おかしくなったかな。


あぁ、冷静な判断ができない……………。



そうこう悩んでいるうちに相崎くんは教室に入ってきて、


───バチッ


思いっきり私と視線が交差した。