今朝の言葉も今の言葉も全部私を守るためだった。

ファンの子たちと遊ぶようになれば私への嫌がらせがなくなるから。


凛くんだって私と同じくらい───ううん、私よりもずっと辛いはずなのに、どうしてこんなにも優しくいられるんだろう。


誰かのために自分を犠牲にすることも厭わない強いところに憧れていた。


私も凛くんのようになりたくて必死に追い縋ってたつもりだったけど、逆に助けられてばかり。


ほんと………ずるいよ。

凛くんは変わってなんかいなかった。


こんなにも温かくて優しい人を好きにならずにはいられない。


濡れた目元を拭いながらゆっくりと立ち上がった。


本当は今すぐ凛くんの側に行きたかったけど、今顔を合わせたら困らせてしまうと思った。


貰った優しさは胸に留めてまた明日から頑張ろう。


……だから、ありがとう。


心の中で呟いて静かにその場を後にした。