極悪プリンスの恋愛事情



「遅くなってごめん。これ使って」


目の前に差し出された紺色のハンカチ。

ゆっくりと顔を上げたら、肩で息をする……………岸本くんの姿が映った。


「ありがとう………」


ハンカチを手に取って安堵の息を吐く。

そうだ私、岸本くん待ってたんだっけ………。


「さっきの子たち凛のファンだよね。絡まれてたの?」

「クリスマスに凛くんと出掛けたのが噂になってるみたい。抜け駆けすんな!って言われちゃった」

「にしてもこれはやりすぎだろ……」


そう言って、着ていたブレザーを私の肩にふわり。

眉を下げながら「寒くない?」と、心配そうに私の顔を覗き込んだ。


「平気!これくらいで負けたくないもん」

「………そんなに凛が好きなんだ」

「うん、大好き」

「そっか」


どこか寂しそうな岸本くんの声色。

その姿は、凛くんの前に立っていたさっきまでの私と重なって見えた気がした。