極悪プリンスの恋愛事情



髪先からポタポタと水滴が流れ落ちる。

足元に転がってきた空のペットボトルを見て、自分がびしょ濡れになっていることを知った。


「っ………」


動いた口元から液体が流れ込む。

酸味が強いのに妙に苦くて、栄養ドリンクを何種類も混ぜ合わせたような味。


さっき言ってたジュース、たしかに美味しくないね。

と、呑気なことを考えていたら。


「お前ら何してんだよ!!」


その声の主は前触れもなくやって来た。


「うわ、誰か来た!」

「逃げよ!」


バタバタと離れていく足音。

さっきまであんなに強気だったくせに、去っていく後ろ姿はあまりにも情けない。


見られて困るなら最初からやらなきゃいいのに。

こちらに近づいてくる“誰か”を見つめながら、ぼんやりと思った。