極悪プリンスの恋愛事情



「なんかクリスマスに2人で映画見に行ったらしいじゃん?あの子最近調子乗ってるよね」

「ほんとそれ。岸本くんにも媚び売ってるし、超むかつく!」


冷や汗がタラリ。

どうやら私と凛くんのクリスマスデートが噂になっているらしい。


たまたま誰かに見られたんだろうけど、まさかこんなタイミングで知ることになるとは。

会話の内容が悍ましくて心臓バックバクなんですけど。


「私らで一旦シメとく?」

「あ、それナイスアイディア!」


しめとく?ないすあいでぃあ?

頭の中で繰り返してからようやく意味を理解する。

これはもう冷や汗どころじゃない。

見つかる前に隠れねばと、地面を這いつくばって逃げようとした。


けれど、



「あそこにいるの花野井静香じゃない?」



─────やっば。


茂みに隠れる一歩手前で彼女たちに見つかってしまった。