じっと見つめたらあっさり逸らされた。
無表情のくせに隠そうとするのは、これ以上詮索するなって意味かもしれない。
「………じゃあ、凛くんが本当のこと教えてくれるならどこにも行かないよ」
「は？」
「でも、何も言わないなら岸本くんのとこに行くから」
ちょっとした賭けだった。
変わらない現状をどうにかしたくて、凛くんが口を閉ざす理由をわかった上で罠を仕掛けた。
「なんだよそれ………」
目を伏せて黙り込む凛くん。
何度も見る光景に正直私も折れかけていた。
「私、そんなに信用ない？」
「別に……これは俺だけの問題だから」
「だったら巻き込んでよ。誰にも言えないなら、私だけに話してよ！」
なんでもいいからきっかけが欲しくて、心を揺さぶろうと必死だった。
ほんの僅かでもこちらに傾いているなら、手を伸ばして掴みたい。
独りじゃないって、私もいるんだって、気づいてほしかった。
「凛くんの隣に居られるなら、どんなに傷ついたって構わないのに」
この気持ちは綺麗事なんかじゃない。
