極悪プリンスの恋愛事情



「ど、どうしたの岸本くん……」

『あれ?よく俺だってわかったね。』


「あ、いや………声がね?岸本くんだなって」

『ふーん、そっか。実は中原ちゃん(皐月)に番号聞いてさ。昼休み終わっても戻ってこないから心配になってかけちゃった』


「今って授業中じゃないの?」

『抜けてきた。どうせ1時間目もサボったし、今日くらいはいいかと思って』


1時間目………。

私のせいでサボらせちゃったあれか。


『で、凛には会えた?』

「んぇっ!?」


会えたというか……ここにいるというか……。

恐る恐る振り返る。どうやら会話が聞こえていたらしく、首を横に振っていた。

無言の圧。たぶん答えんなってこと。


「あ、会えなかったよ!たぶん帰ったんじゃないかな!?」

『あいつほんと薄情だなぁ。ちなみに花野井ちゃんはどこにいるの?会いたいんだけど』

「えっと、私は…………」


何て答えよう……と悩んでいたら、伸びてきた手にスマホを取り上げられて。

止める間も無く通話終了のボタンを押された。


「返す」


画面が真っ暗になったスマホを手のひらにポン。

いやいや!?

返す。じゃないでしょ!?