極悪プリンスの恋愛事情



「はっ………」


しばらくの沈黙のあと、相崎くんが息を吐くように声を出した。


その声を聞いて恐る恐る顔を上げれば、なんとも微妙な顔で私を見ている。

あれ、なんかさっきと様子が………。


「うっざ」

「え、」

「俺は人の寝込みを襲うような変態女に興味ないから」


返ってきたのは、なんとも冷酷で、なんとも正直すぎる言葉だった。


「っ…………」


抱えていたカーディガンが足元に落ちる。


返事なんて、聞かなくてもわかってたよ。

相崎くんは女嫌いの極悪プリンスで、私は寝込みを襲う変態女。


どう考えても釣り合うはずがないし、初対面同然の人に告白されて、いい返事をくれるわけがない。


でも、こうして向き合って言われるとやっぱり辛いんだ。