「で、何の用?」
だるそうに体を起こしてから冷え切った目でこちらを見てる。
怯んじゃだめ……ちゃんと話さなきゃ。
ごくりと息を呑み込んでゆっくりと立ち上がった。
「………その、岸本くんに聞いたよ。林田さんと凛くんのこと」
「あっそ」
「私のこと散々嫌いだって言ってたのは、守ろうとしてくれたからなんだよね?」
「さぁな。ただの自意識過剰じゃねーの」
「それでも、ありがとう」
「なんだよ。ありがとうって………」
ぽつりと呟くや否や、凛くんは黙り込んでしまった。
訪れた静寂に不安を煽られて息が苦しい。
どうしよう、黙っちゃった………。
やっぱり勝手に来たから怒ってるのかな。
今朝方話しかけるなと言ったばかりの相手が性懲りも無く追いかけてきたら、不機嫌になる気持ちはわからなくもない。
だったら、いつものように寝たふりでもしてればよかったのに。
私が居なくなるのを待てば面倒ごとがなくて済む。
それでもこうして向き合ってくれたのは、たぶん。
………いや、絶対。
震える唇をぐっと噛み締めて凛くんに詰め寄った。



