「それを知った凛は自分のことすげー責めて、真央を守れなかったことをずっと後悔してた。浮気させたのも自分のせいだって思い込んで………。正直、あの頃の凛は見てらんなかった」
「そう、なんだ……」
初めて知る凛くんの過去に戸惑いを隠せない。
真央さんの存在を知ってから何かあるんだろうとは思っていたけど、その“何か”は私の想像を超えていた。
辛いとか苦しいとか、そんな簡単な言葉じゃきっと足りないくらいに。
「だからあいつは女の子を避けるんだよ。特別な子をつくれば必ず傷つけるってわかってるから」
“俺のこと、嫌いになって”って、そう意味だったんだ………。
私が凛くんの側にいたら辛い思いをするって知ってたから。
「バカだよな、ほんと」
「え?」
「誰も傷つけたくないって言いながら、自分が一番傷ついてんだもん。不器用なくせにすげー優しいから、損ばっかりしてる。女嫌いなんて本当は全部嘘なのに」
嘘、か……。
岸本くんの話を聞いているうちに、なんとなく思うところはあった。
普段は冷たい凛くんが時折妙に優しくなるのは、偽りの自分を演じきれていなかったから。
どんなに取り繕ったって本当の自分はそう簡単に騙せないもの。



