極悪プリンスの恋愛事情



それに、いくらクラスメイトでも私の存在なんて知らないと思ってた。

どちらかと言えば目立つ方じゃないし、相崎くんに話しかけたことだって一度もない。


だから余計に嬉しいの。

大好きな相崎くんに、存在を知ってもらえてたんだって。


「届けに来てくれてありがとう……」


緊張して口元が震えた。

小さくなった声はちゃんと相崎くんに届いたかな。


「ん、別に」


そう言って、相崎くんは小さく笑った。

初めて間近で見る極上の笑顔に心臓はドクンと跳ね上がる。


こんな近くでその笑顔はずるい……。

好きになれって言ってるようなものじゃんか。