極悪プリンスの恋愛事情



「わかんないよ、なにも。凛くんの気持ち………全然わかんない」


もう頭の中がぐちゃぐちゃだ。


受け入れたくない現実から目を逸らして、どうにか今を繋ぎ止めよう必死にもがいている。


どうせ意味がないと知りながら、惨めったらしくしがみつくことしかできない。


好き以外はほんとにからっぽだった。


「………辛いんだよ」


ぽつりと凛くんが呟く。


「え…?」


聞き返して。視線が重なって。

驚愕した。



「花野井が俺を好きだって言うたび苦しいんだ」



ぽたりと、凛くんの瞳から涙が溢れていることに気がつく。

幻なんじゃないかと強く目を閉じてみたけれど、頬を伝う雫が消えることはない。



涙、初めて見た………。