極悪プリンスの恋愛事情



酷いこと言うくせになんで泣きそうな顔するんだろう。

それじゃあ、本心なのかわからないよ…………。






「おーい、真央ー!」


少し離れた場所から林田さんを呼ぶ声がした。


視線の先にいるのは同い年くらいの男の人。なんとなく、彼氏かなって思った。



「じゃあ、そろそろ行くね。久しぶりに凛と会えてよかった」

「俺も……会えてよかったよ」

「うん。またね」


笑顔を残して林田さんが去っていく。

私の心は乱れたままで、複雑な感情だけが置き去りにされていた。


「あの、凛くん。さっきの林田さんの話………どうゆう意味?」


林田さんはああ言ってたけど、本人から直接聞きたかった。

好きにならない方がいいなんて……悲しすぎるよ。


いつも女の子に冷たいから、無謀な恋だって意味かもしれないけど、凛くんは冷たいだけじゃないでしょ?

本当はすごく優しくて思いやりのある人だって、ちゃんと知ってる。


だから、凛くんの口から違うって否定してほしい。


この恋を終わらせたくないから。