「─────あれ、凛?」



“その声”が聞こえたのは本当に突然だった。


弾かれるように振り向くと、そこに居たのは見知らぬ女の人。

彼女も驚いた様子でこちらを見ていた。



…………誰?


同じ学校の人……ではないよね?

凛くんを名前で呼ぶ女の子なんて私以外会ったことないし、親戚か何か…………。



「え、真央?」



自分自身で答えを出す前に、凛くんが彼女の名前を口にした。

聞き覚えのある名前に心がざわつく。


今の……。

たしか、凛くんと岸本くんが話してた人の名前だ。


真央って、女の人だったんだ…………。




名前を聞くのは今日で3度目。


どうしようもない不安が渦巻いて、うまく呼吸ができずにいた。