極悪プリンスの恋愛事情



「うん、どこかで食べていきたい!」


緩んだ顔を隠すように必死で笑顔を貼り付けた。



……あ、やっぱり今の返事は失敗だったかも。


凛くんと一緒に居られるならそれに越したことないけど、何も聞けないまま今日が終わってしまう気がしたから。


もちろん夜ご飯は凛くんと一緒に食べたいよ?

食べ終わってからでもチャンスはあるし。


でも、理由をつけて逃げているなら、いざと言う時に絶対尻込みしてしまうと思った。


………言わなきゃ。

言わないと何も伝わらない。



「近くに穴場のレストランあるからそこ行くか」
 

何も知らない凛くんは「案内する」と言って私を誘導していく。

振り向きもせずに早足で行ってしまうから、急いで後を追いかけて………。



途中、足を止めた。



「あれ、花野井?」


ようやく振り向いた凛くんが私の元に駆け寄る。


覗き込むように「どうした?」と、優しく聞いてくるから心臓が張り裂けそう。



「…………クリスマスツリー。綺麗だなって」


視線の先に見える大きなクリスマスツリーを指さした。