極悪プリンスの恋愛事情



本当は内緒で準備をする予定だったけど、咄嗟に上手い言い訳を考えられるほど私は器用じゃない。


素直に全部打ち明けて、凛くんにいいよって言って欲しかった。



「…………ったく、仕方ねーな。レジ行くぞ」



ぐいっと手を引かれる。

いつもと同じ冷たい反応だったのに、不思議と不安は感じなかった。


……凛くんの手、熱いよ。


私と同じくらいドキドキしてるのかなって、少しだけ浮かれてしまう。


嫌いだと何度言われても期待し続けてしまうのは、こんなにも近くに凛くんがいるせいだ。


好きな人に優しくされたら誰だって勘違いしちゃうよ………。


繋がれた手をぎゅっと握り返して、確かな現実を噛み締めた。



今日のデートの理由。

逃げずに聞いたらちゃんと答えてくれるのかな。



私のこと、どう思ってるのって───────。