極悪プリンスの恋愛事情



「お前俺のこと全身黒ずくめにするつもりかよ」

「じゃあ白がいい?こっちもすごく似合うと思うよ!」

「それは花野井の色だろ」

「凛くんこそ私のこと真っ白にする気じゃん」


ヘンテコな会話がおかしくて、思わず笑みが溢れる。


そんな油断し切った私向かって、凛くんは囁くように呟いた。


「じゃあ、黒にすれば」


パッと顔を上げたらちょうど視線がぶつかった。

いつの間にか手にした黒いマフラーを私の首元まで伸ばしていて。

タイミングを見計らったようにもう一言。


「こっちも似合うよ」


不意打ちの甘い言葉に心臓が飛び出そうになる。


女嫌いのくせに優しくするなんてずるいよ…………。




「じ、じゃあ買っちゃおうかな!?凛くんが似合うって言ってくれたし!?」

「安直すぎじゃね?」

「だって凛くんが選んでくれたものだから欲しいんだもん」


凛くんのクリスマスプレゼントを買うつもりが、まさか自分へのプレゼントを買うことになるとは。

まぁ、こんな機会滅多にないし、今日くらいいいよね?