極悪プリンスの恋愛事情



頭に浮かんだ言い訳もキレイにぶった斬られて逃げ場を失ってしまった。


なんでもないとか、かっこよくて見惚れてたとか、お決まりのセリフでよかったのに。

いつも焦ってばかりでかっこわるい。


どうにか乗り切らねばと辺りを見渡し、ちょうど近くにあった白いマフラーを掴んで答えた。


「これ!このマフラーが可愛いって思ってたの!!!」


もちろん今考えた嘘だ。男女兼用そうだから適当に言っただけ。

凛くんの好みをリサーチしようとしたことがバレなければ、もうなんでもいい。


「花野井ってやっぱ白が好きなんだな」

「え?」

「今日着てるコートも学校のカーディガンも白っぽいから、好きなんだろうなって」


思いもよらない言葉に不覚にもときめいてしまった。

深い意味がないことくらいわかっているのに、私の好みを知ってくれていたことが単純に嬉しかった。


「…………凛くんは黒が好きだよね!これとか似合いそう」


白いマフラーの隣に並んでいた色違いのものを手に取ってみる。

凛くんの首元に当ててから「やっぱり似合うね」と呟いた。